今日は午前中にトロギールを観光して、午後はスプリットに戻りディオクレティアヌス宮殿を見物した後、宮殿の中でフリータイムとなってホテルには各自で戻るという予定になっている。

少し遅めの9時前にホテルを出発。トロギールまでは20kmほど、早速始まった添乗員のお話のあらまし;

トロギールは本土とチオヴォ島の間にある小さな島である。もともと本土と繋がっていたが、町の防御のために水路を掘って島にしたそうだ。

トロギールの歴史は古く、BC3世紀にギリシャ人がやってきて殖民都市トラグリオンをつくった。ローマ時代まで大きな港として発展するが、トロギールへ行く途中にあるサロナがローマの都市(バスの車窓からは水道橋と遺跡らしきものがちらっと見える)として急に繁栄、トロギールは没落する。

7世紀に南スラブ人がやって来てサロナを破壊すると、サロナ市民はトロギールやスプリットなどに逃げ去りました。9世紀になるとトロギールはクロアチア王国の支配に入り、11世紀には自治権を持つが、15世紀からはヴェネツィアの長い支配時代となります。

トロギールには聖ロブロ大聖堂など13世紀から17世紀に建てられたロマネスク、ゴシックやルネッサン様式の教会や多くの建築物が保存状態もよく残されています、それで島全体が世界遺産になっているとのこと。

急ぎ足の話を聞いていると30分ほどでトロギールに到着。ガイドさんの後について橋を渡ったところに北門がある。門の上の像はトロギールの守護聖人、イヴァン・オルフィーニだそうだ。

添乗員の話の通り、門を潜って2~3分ほど歩いたところが町の中心のイヴァン・パヴァオ・ドゥルギ広場(ややこしい、地球の歩き方で確認した)で、広場の周りに聖ロヴロ大聖堂や時計塔、市庁舎などが建ち並んでいる。

聖ロヴロ大聖堂

西側の正面入口のまわりに集まってガイドさんの話を聞く、

それによると聖ロヴロ大聖堂は13世紀の初めに建設が始められ13世紀半ばにはほぼ完成したそうだ。なので、建築様式はロマネスクだが、一部、ゴシック様式もあるらしい。鐘楼は14世紀末から16世紀の終わりにかけて建設されたので全体の完成は17世紀になってからである。この大聖堂の一番の見ものは、ダルマチア生まれの巨匠マスター・ラドヴァンが制作したこの正面入口の装飾彫刻とのこと。

ガイドさんが指差す扉の上の方を見ると、半円形の真ん中にはキリストの生誕の場面などが刻まれ、その外側の帯には天使、さらに一番外側にはキリストの磔刑などキリストの生涯が描かれているようである。

両側の柱には枝と葉に囲まれて動物や狩、四季の仕事の様子などが彫刻されているとのこと。よく見ると動物に追いかけられて頭を両手で抱え込んでいる様子、肩から小麦か何か皿に移しているような場面、種まきor家畜に餌を与えているらしいところなどなど・・・ロマネスク時代の聖なる場所に市民の日常生活を描き込むとは、巨匠マスター・ラドヴァンには驚かされる。柱を支えている男たちはアトラス(テラモン)をモチーフにしたもののようだ。

さらに、柱の両側にはライオンとその上にアダムとイブの像が彫刻されている。昨日のシベニクの大聖堂では同じようなライオンとアダムとイブの像をちらっと見ただけだが、こうしてゆっくり見るとライオン像(左のライオンは羊を踏みつけている?)はのっぺりした感じである。大英博物館で見たアッシリアのライオン狩のレリーフはBC10世紀より前のものだが、百獣の王ライオンの風格とリアリティがあった。ヴェネツェアの流れをくむ13世紀の巨匠がアッシリアの彫刻家に劣るとも考えられないし、寓話的な表現とも思えないので、ライオンを見たことがないと言うことなのだろうか。

聖堂の中に入ると、身廊と側廊からなる3廊式だが、長いす一列の小ぶりな聖堂である。上を見ると交差ヴォールトになっているので、天井はゴッシック様式で後から造られたようだ。

内陣に進むと、主祭壇は東洋風の6角堂の素朴な祭壇で、見た目なにもない感じ。主祭壇の手前に天井からぶら下げられた十字架と一体としてみるのかも知れない。主祭壇の左手には説教壇、右側は聖歌隊席が置かれていて、こちらは立派なつくりである。

説教壇の左手の少し奥まった祭壇にキリストの磔刑像、その隣には北門でも見たトロギールの守護聖人イヴァンの石棺が置かれた豪華な祭壇がある。石棺の両脇には天使像、両側の壁には聖人や天使が刻まれ、天井には神が姿をのぞかせている。祭壇は15世紀半ばの作ということなのでルネッサンス彫刻と思われるが、石棺両脇の天使像はバロックにも見えるのだが・・・・・、

この後、宝物庫(撮影禁止)を眺めて聖ロヴロ大聖堂の見物はお仕舞い。

聖ロヴロ大聖堂の見物の後は広場に戻る。青い文字盤の時計塔は15世紀のも、ちょっと分かり難いが1階部分は聖セバスチャン教会となっているそうだ。その横には一方を開放する建築様式のロッジアがある。当時は裁判所としても使われたものでレリーフには裁判官が公正、正義を表す天秤を持っているところが描かれている。

市庁舎をカメラに収めたところでフリータイムとなり、島の南端にあるカメルレンゴ要塞に上ってトロギールの町全体を眺める。後はぶらぶら、で、世界遺産トロギール見物はお仕舞い。