イスタンブールの出発は10分ほど遅れたが、リブリャーナ空港には定刻より15分ほど早い1時25分に着く。時差が1時間あるので2時間弱のフライトである。

今回の参加者は30人と大所帯である。男性はご夫婦で参加の4人と1人参加が自分も含めて2人、合わせて6人でツアーでは平均的な構成である。宮崎から岐阜まで幅広いツアー仲間であるが、いつものジィ-ジやバァ-バばかりの旅と違って若い女性が7人も参加している。でもって、華やかな旅になりそうだ。

(美形の若い女性や上品な熟年さんにもご登場願って、この無味乾燥なHPにお色を付けられたらとたくらんでいるのだが・・・・)

ブレッド湖

入国審査はパスポートにスタンプを押すだけ、荷物も無事に出てきてスロヴェニアに入国、いよいよバルカン半島の国に立ったと思うとちょっぴり興奮気味である。で、ガイドさんに出迎えられてブレッド湖に向かう。添乗員の話ではこれから10人のガイドさんが入れ代わり立ち代わりやってくるそうだ。

1時間ちょっとでブレッド湖畔に着く。ガイドさんによれば、この周囲6kmほどの小さな湖は‘アルプスの瞳’と称えられており、ユリアンアルプス(アルプスを越えたスイスやオーストリアの反対側にある)の麓に位置しているのだそうだ。

澄み切った湖面は波穏やかで、中ほどの小さな島には教会があり、その緑の茂みから鐘楼が顔を出している。また、湖畔の絶壁の上に古城が聳え、豊かな緑が湖の周囲を覆っている。絵のように美しい。

聖マリア教会

小島の教会へはプレトナという手漕ぎボートで15分ほど。
船着場から99段の石の階段を登りきると聖マリア教会が眼の前である。教会と並んで、ちょっと不釣合いな高さ52mの鐘楼が天を突くように聳えている。

ガイドさんによると、小島に教会ができたのは10世紀、その後12世にロマネスク、15世紀にはゴシックと鐘楼、16世紀にはバロック様式の教会堂に建て替えられて現在にいたっているのだそうだ。

教会のファサードには受胎告知の場面が刻まれた青銅の扉があるが、この扉は重要なミサが行われる時にしか開かない。で、観光客は通用口から入る。
中央祭壇には幼子を抱く聖母マリア像、ちょっと近代的な顔立ちの感じである。この木彫りに金箔が張られた聖マリア座像は1747年の作とのこと。

また、周囲の壁際には立派な額で飾られたフレスコ画が掲げられている。説明によれば立派な額とは思い違いで、実は、祭壇なのだそうだ。

大きな羽根を広げ、悪魔を打ち負かす場面が描かれた聖ミカエルに捧げられた祭壇。
聖アンナの祭壇には、アンナの膝に抱かれた幼子を聖母マリアが抱き上げようとしている様子が描かれている、傍で眺めている男はヨセフだろうか。

マグダラのマリアの祭壇では、マリアが十字架から降ろされたイエスの足元で両手を組んで祈りを捧げており、その眼差しは天使が指差す十字架に向いている。天使は復活を予言しているのだろうか。

願が叶う鐘

さて、聖マリア教会で観光客に1番人気があるのは中央祭壇の前に天井からぶら下がっているロープを引いて鐘楼の鐘を鳴らすことである。

この鐘には伝説があってリーフレットには、‘盗賊に殺された夫を深く悼んでいた若い未亡人はブレッドのお城に住んでいました。未亡人は島にある教会のために自分が持っていた金銀を集めて鐘を鋳造させ、その鐘を島に運んでいた際、船が激しい嵐によって転覆し、鐘と船頭が沈んでしまいました。

そのことによって未亡人の悲しみはさらに深くなり、自らはローマに行って修道院に入ってしまいます。 未亡人の死後、時の法王は島の教会のために新しい鐘を造らせました。鐘を鳴らす時に、願うことを伝えれば、願いは叶うと言われている’と述べられている。

(鐘は直径66cm、高さ56cmでフランシス・パタヴィナスによって1534年に鋳造されたものだが、誰が作らせたのか確かな情報はないらしい。事実はともかく、伝説に従う方がロマンがあってよろしいようで・・・)

でもって、恋愛の願いごとは特に叶うとかで、女性陣はガイドさんにロープの引っ張り方を教わって、順番に鐘を鳴らしている。(実は、7回鳴らさないと願いは叶わないらしい)

短いフリータイムとなって教会の裏手に回ったり、横手の茂み越しに現在はホテルとなっているチトー大統領の元別荘をカメラに収めたりして階段のところに戻ってみると、花嫁が階段を登って来るところである。

マリア様の教会なので、近隣はもとよりヨーロッパの若者達にもこの教会で結婚式を挙げるのが大人気で、花婿は花嫁を抱き抱えて階段を登って結婚式に望むというのがしきたりだそうだ。もっとも、体格のよい花嫁を抱き抱えて99段の階段を登るにはレスラーのような筋骨隆々の花婿でないと難しいので、このイギリス人の花嫁のように母親や姉妹に付き添われて階段を登るのもありのようだ。

30分ほどの聖マリア教会の見物を終えて、ブレッド城に向かう。湖畔には木立のなかに遊歩道が作られていて、いつもはジョギングや散歩をする人々でいっぱいなのだが、今日は暑いので少ないらしい。

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