トゥールにはほぼ時間通りに戻ってくる。40分ほど待って12時20分にシノンに向けて出発、3時15分シノン発の電車でトゥールに帰る予定である。シノン城の見学は1時間半弱とタイトなスケジュールである。
ブロワ行きの電車が遅れたこともあったので、駅の窓口でチケットの綴りを見せると、3時15分の電車はない、さらにその後もシノンからトゥールに帰る今日の電車はないと言われる。

今年の初めにロワールの古城巡りの計画を立てた時、SNCFの検索でシノン~トゥールの電車は1日に4~5本しかないことが分かって、えらい田舎だなと驚いたのだが、何とかシノン城の見物をスケジュールに入れてレイル・ヨロッパでチケットの購入を済ませていたのだが・・・・

フランスではストもしょっちゅうあるし、日本と違ってダイヤ通りに電車が運行しないことも多いので3ケ月先のスケジュールを決めてしまったのが間違いだったようだ。シノン城行きを強行する元気もないので、早めのTGVでパリに戻ることにした。

で、変更を申し出ると、駅員は正規料金のチケットを見せて割引料金との差額を払うように言っているらしい、日本では無料で変更出来るし、ドイツでも手数料だけで変更したことがある。

フランス語は全く分からないし、‘I will pay change charge only’, ‘ok?’程度での片言ではは用をなさない。フランス国鉄の制度を知らないし、言葉も話せないので東洋の年寄りが体よく誤魔化されたのかも分からないが、とにかく後味が悪い。

昨日泊まったホテルのロビーで時間を潰し、出発の10分前に駅に戻り電光板を見ると、乗る予定の電車が表示されていない。通りがかりの二人連れにチケット見せて聞いてみると、周りの人にも声を掛けてくれるがよく分からないようだ。結局、駅の窓口まで行って確認したところ、サン・ピエール・デ・コー駅へ行くシャトルは電光板に出ないらしい。ばたばたしたので構内の端っこにある乗り場に着く前にシャトルが出てしまった。

二人連れも1人はパリに帰るらしく、もう1人が見送りに来ていたらしい。成り行きで一緒に行動することになったが、タクシーがつかまらない。ついて来るかと聞かれて、2人の後を歩いていると駅の裏手に連れて行かれるようでちょっと心配である。

3~4分歩いたところで駐車場に着いて、見送りに来ていた人の車に乗せられる。二人とも30台で、浅黒く彫りの深い顔立ちなので中東の出身らしいが、日本人かと聞かれて、そうだと答えると、自分はイラク人だと打ち明けられる。

‘お国はまだまだ厳しさ続いていますね?’と訊ねると、バクダッドはまだ危険だと言う返事、
‘Dangerous’ と言う言葉が耳にこびりついている。
何処に連れて行かれるのかという不安も感じていたが、10分ほどでサン・ピエール・デ・コー駅に着く。お詫びの意味も含めてお礼を差し出したが受け取って貰えない、サンキュー、サンキューである。それにしても旅をしていると思いがけないことに出くわすものだ。

モンパルナスに早く戻ったので、モンパルナスタワーにでも上ってパリの全景を見ようと思ったが、料金がベラボーに高いし、アイスランド火山噴火も気になるので、モノプリに寄って中華の惣菜を買ってホテルに帰る。