モンパルナス メトロ4号線

預けてあるキャリーバッグを取りにホテルに戻ると、フロントにデリアともう1人、昨晩遅くに見た老人がいる。フロントは2~3人がシフトしているようで昼間はデリアはが担当することが多いようだ。話は、おのずとと火山噴火になるが、空港の新しい情報は何も発表されていないらしい。何時帰るのかと聞かれて、ロンドンを出発するのは4月21日だと答えると、‘それなら大丈夫’と保証してくれるような口ぶりある。単なる気休めに過ぎないが、フランス人もお愛想を言うらしい。

パリのユーロスター出発駅は北駅、モンパルナスからは地下鉄4号線が直通でつながっている。
飛行機が駄目ならユーロスターに乗客が集中し、北駅は混雑しているのに違いないので早めにホテルを出る。

地下鉄4号線は国鉄の駅(わがホテルはこちら側にある)から遠く離れており、時速9kmの動く歩道があると聞いたことがあるが、時間帯によるのか普通の速度の動く歩道しか動いていないようだ。
4号線への道は動く歩道を降りてからが大変である、地下通路が狭いうえにちょっとデコボコもある。おまけに急な階段があってキャリーバッグを持ち上げて運んだりしなければならない、重いスーツケースを持ち運ぶ旅行者のことなどは考えていないらしい。
さらに、遠いとは聞いていたが行けども行けども着く様子がない、また、途中で分かれ道があったりして心細いことこのうえない。4号線の④のマークを確認しながら歩いているので多分間違ってはいないはずだと思いながらも心配である。バス停の間隔の1つくらいは歩いたと思うころやっと4号線のプラットホームが見えてくる。
(旅行者は安心のためにも下見をしておくのがお勧めである)

ユーロスター

25分ほどで北駅に着いて地上に出ると、さすがにごった返している。通りがかりの人にユーロスターの改札口は2階だと教えられ階段のところに行くと係員が一々チェックしている。2階に人が殺到して溢れ出すのを警戒しているのかも知れない。
レストランで時間を潰した後、長い列に並んで待合ロビーに入り、立って待っていると日本人らしい人の隣の席が空いた。30過ぎの若者であるが無精ひげがのびており、聞けば、3ケ月ほど世界を放浪してロンドンに帰るところだそうだ。久しぶりに日本語を話すとかで、ハンムラビ法典や人面有翼獣の話などメソポタミアの話をして結構話が弾む。

発車間際になって慌てて駆け込んで席に着いてみると、でっかい男がすでに座っている。間違ってませんかと、チケットを見せると男もチケットを取り出し、比べてみると同じ席のチケットである。どうやらダブルブッキングのようである。
しかたなくデッキに出てキャリーバッグに座って待っていると、しばらく経ってから車掌が通りかかる。チケットを見せてダブルブッキングの話をすると、チケット購入の日付が早すぎてキャンセルしたのだろうという返事である。乗客が金を出して買ったチケットを勝手にキャンセルしてしまうとは驚きである。
発券済の座席を係員がキャンセルしようとしても、普通はロックが掛かっていてキャンセル出来ないはずである。それでも強制的にキャンセルするためには上司の許可が要るはずである。ごく普通のシステムでもこうしたセキュリティになっていると思うが、ユーロスターの発券システムは簡単に2重発行ができるいい加減なもののようだ。車掌が代わりにくれた座席は6つも後ろの車両である、狭い通路をソリー、ソリーと言いながらキャリーバッグをごろごろ引いて何両も移動するのは何ともなさけない。いいかげんにしろと言いたい。

ロンドンのユーロスターの発着駅はセント・パンクラスである。前回、ユーロスターでブリュッセルに行った時にはウオータ・ルー駅から発ったが、4~5年前にセント・パンクラスに代わったそうだ。
コベントガーデンへは地下鉄で3つ目、すぐ近くであるが、北駅の待合ロビーで話し込んだ時に彼から休日のコベントガーデン駅は閉鎖されることが多いと教えて貰っていたので、タクシーでホテルに向かう。

ロンドンのホテル

ロンドンの宿はパリと違って客室数が800室近い大型ホテルである。ポーターもいない3ツ星ホテルだが、近くにロイヤル・オペラ・ハウスやミュージカル劇場がたくさんあり、ナショナル・ギャラリーにも歩いて7~8分、さらに5~6分行くとピカレデリー・サーカスという交通至便が売り物である。
部屋に入ってテレビをつけると、BBCやCNNなどの報道はアイスランドの火山噴火一色である。4月14日から始まった再噴火では上空10000m以上に火山灰を吹き上げ、その噴煙がだんだんと南下してきてイギリス、ドイツやフランスなどに達している様子や、ヒースロなど、今日は空港閉鎖が30カ国に広がっていることなど映像を繰り返し流している。

何週間も火山灰が大気中を漂うので、飛行の再開は目途が立たないと言う見通しの記者会見もあったりして、何時日本に帰れるか分からない状態であるが、心配すればどうにかなるという問題でもない。航空会社はもっと詳しい情報を持っているかも知れないので、明日は朝1番にJALに行くことにして寝る。