ホテルのコンシェルジュにJALのロンドン支店の場所を聞くと、しばらくファイルをめくっていたが、ハノーバ・スクエアーだという返事が返ってきた。地図を見るとホテルから歩いて7分ほどのチャリング・クロス駅から2つ目のオックスフォード・サーカスの近くのようだ。

ラッシュの地下鉄にもまれた後、Excuse me、を繰り返して何とか教えられた住所にたどり着いたが、そこはJALの看板らしきものは何にも無いどころか、空き家のような気配である。近所の人に聞いてみると、だいぶ前に移転したはずとのこと。
途方にくれるとはこのことかと自嘲していると、ふと、ロンドンのタクシーは世界一優秀で、どんな所にも連れて行ってくれると言う話を思い出した。
早速、タクシーを拾って、行き先はJALの新しいロンドン店だと告げると、運転手は2~3分無線交信していたが、‘OK’と言った表情で書き留めていたメモを渡してくれた。(一般に公表されているJALロンドン店の電話番号は予約センターの番号であり、ロンドン店の住所や電話番号は公表されていない)

6階のオフィスに上って、通りかかった人に来意を告げると、会議室らしい部屋に通される。ヨーロッパのほとんどの空港が閉鎖され、どの航空会社も対応に騒然としているのかと思っていたが、オフィスのなかは何事もなかったように静かである。
すぐに入ってきた担当者の話では、こちらの新オフィスへは2年ほど前に移ってきたそうだ。住所や電話番号を公表していないのはセキリティを考えてことかもしれない(担当者は明言しなかったが・・・・)。肝心のフライト再開の見通しについては、航空会社もテレビや新聞で報道されている以上の情報は持っていないそうだ。eチケットを持っているかと言われて差し出すと部屋か出て行き、しばらくして戻ってきて、リストに載せましたと言われる。
グローバル会員の優先ウェイティングはこうした緊急事態の際にも有効らしい。ついでに連絡用にと宿泊先のホテルも聞かれる。

それにしても、クラリッジを舞台にした小説、「ザ・ホテル」に描かれたコンセルジュまでとは言わないが、2年も前に移転したJALの情報すら持っていない2流ホテルのコンセルジェに振り回されて腹が立つ一方、ロンドンのタクシーはさすがと言うか感謝の思いである。
ま、なんとかJALと連絡がついたので大英博物館に向かう。
大英博物館も過去に2回ほど訪れているが、ロゼッタ・ストーンとミイラを覚えているくらいで、アッシリアやメソポタミアは戦争のレリーフがあったかなと思うくらいで殆んど記憶にない。が、今回は少しは予備知識もあるので楽しみだ。